診断士の声
坂井さん/武藤さん
(以下敬称略)
チームリーダー・管理職に好評!部下へのサポートツール
- 簡単に自己紹介をお願いします
- 坂井:企業でキャリアコンサルタントとして、キャリア研修や社員のキャリア支援を行っています。パーソナル診断はチームビルディングの支援や管理職の支援で活用しています。
武藤:5年ほど前、坂井さんと2人でキャリア支援室を立上げ、本社の内勤社員のみから支社の内勤社員まで対応範囲が広がってきています。研修は、年代別研修、管理職向けの傾聴講座、パーソナル診断を活用したチームビルディング研修などを連続して実施しています。 - キャリア支援室を立ち上げたきっかけは?
- 坂井:立ち上げるまではキャリア研修がなく、キャリアコンサルタント資格を取得したこともあり、会社の中でキャリア研修ができないかと社長に提案をさせていただきました。会社にも考えてもらって、導入した経緯があります。
- 立ち上げた当初のニーズは?どう広めたのでしょうか?
- 坂井:ニーズはなかったですね(笑)。ニーズはないのですが、課題はありましたので、小さなことから始めました。まず人事にキャリア研修がなかったため、もしかしたらニーズがあるのではないかと、掘り起こしを行いました。会社が好きな人は多いのですが、キャリアを描きにくい、やりがいを感じられない人も一定数いたため、キャリアコンサルタントが支援できる可能性があるのではと提案していきました。
また、会社と個人の間を繋ぐというか、会社は社員にこうなってほしい思いがありますし、社員は会社にこうしてほしい、自分たちの考えも聞いてほしいという思いもあります。私たちにも個性を発揮してほしい思いがありましたので、これらを繋ぐ役割をしたいと思っていました。
武藤:私たち二人を繋いでくれた社長は、私がいたところで責任者をしていた時、社員の満足度を上げる施策など、キャリア支援に繋がるような活動をされており、私は触発されてキャリアコンサルタントになりました。その方が本社に戻って社長になってから、坂井さんを繋いでもらいました。
私は仙台で、社員300~400人くらいの中で、20年ほど仕事をしていましたが、管理職の負担が大きすぎると思っていました。何でもかんでも管理職で、一人ひとりに寄り添えと言われても無理!という実感があり、管理職のサポートに課題感がありました。管理職の負荷が大きすぎるため、細かいところまで気が回らない状態で、育成の問題が大きくなり、どうしようって思うがどうしようもない状況でした。現場の大変さや課題が山積みで、顕在化していましたね。 - 当初はテストがない中、行っていたと思いますが、テストを導入した経緯や、良いと思った理由は?
- 坂井:食いついてしまいましたね(笑)
それまではキャリアアンカーを活用していましたが、仕事と結びつきにくく、8つの価値観でざっくりしていました。価値観を知ることはできますが、困っている方に、どういうふうに自分自身を知ってもらうか、自己理解のツールを探していたところ、
キャリコンサロンでパーソナル診断を見つけました。もしかしてこれいいのでは!と思い、セミナーに参加して自分で受けたところ、面白いなと思って診断士講座に参加させていただきました。受講後は、武藤さんのアドバイスを受けて、実際の現場でも診断を受けてもらったところ、手応えがあり、需要が少しずつ広まってきていましたので、武藤さんにも受けてもらいました。
武藤:私は面談の自己理解で導入してもらいましたが、チーム単位でも使えるのではないかと、チームの中でトライアル的に広げていきました。石岡さんに毎回来てもらって、大好評になりましたね。 - キャリアアンカーはよく使われる手法だと思いますが、違いや受けた人の感想、キャリア支援のしやすさはありますか?
- 坂井:仕事の上でも日常的なことでも、困っている方や、やりにくさを感じている方のほうが、そういうことか!とホッとするようなところがあり、自己理解に役立っている感じがします。
また、チームの中では他者のことがわかる点が良いですね。能力を測るものではないため、お互い見せ合っても大丈夫というところもあり、「やっぱりそうか」とか、「意外だな」とか、相互理解にすごく役立つなと実感しています。
武藤:個人向けだと、発言に対して共感や受容などの言葉で返しますが、「本当にわかっているの?」と言われると、わかっている自信はなく、わかってもらっているとは思っていないかもしれません。そんな時、グラフを間に挟んで対話をすることで、客観視ができ、相対的に理解することができます。グラフが共通言語になり、同じものをみて、同じレベルのことがわかるため、「わかってもらえた」と思うでしょうし、私も自己基準ではなく、グラフから「ちゃんとあなたを理解しましたよ」と言えて、信頼関係が築きやすくなります。なにより、ご本人が理解してもらえたと手応えを感じるようになりました。困っている人ほど顕著にその傾向が表れますね。 - 使う前と使った後の変化は?
- 坂井:導入して3年目、延べ400名ぐらいに行いましたが、顕著に変化された方がいましたね。
武藤:はい、自分のことを理解して、本人がすごく肚落ちされました。組織の中で浮いていて困った人扱いされていたため、本人も辛かったようですが、人との違いを理解できたことで、人が変わったように丸くなった方がいました。2年ほどかけて変化してきましたね。
坂井:自分の感覚で日常生活を過ごしていますので、人との違いがわかりにくい部分であっても数値で表れるため、言語化されて深い自己理解に繋がっているようです。
ストレングスファインダーも普及していますが、数値で表れるところが違いとして語ることもできます。客観的に数値化したレーダーチャートになると、数値が好きな理系のような方でも虜になったりしていますね(笑) - このテストは1回で終わらず、その後の変化を見ることができる点も、継続的な活用ポイントになっていると思います。そのあたりでお気づきの点は?
- 坂井:変化というと新卒さんでしょうか。入社時に受けて、1年後にも再度受けていただいていますが、皆さんかなり変化しています。入社時はほぼ学生の状態ですが、社会人になっていろんな経験をして1年経過すると、その変化は私たちも驚くほど。診断結果をもとに本人と話したり、上司と話すことで、「もともとはこうなのね」と、一時的に上がっていたことがわかったり、心配な方には上司にフォローをお願いしたり、グラフの変化を実際のフォローに活用していくこともありました。
武藤:新卒の場合、2年目を実施していますが、その後を追いかけないと、その人の本質的な問題は見えてこないと実感しています。学生の時のグラフを元にしていいのかという懸念もあるため、運用の仕方は今後検討が必要だと感じています。
グラフを追いかけて、問題がある人や心配な人は時間をおいてもう一度受けてもらうが、本質的な部分は変わらないため、「意識して少し伸ばしました」はあっても、大きくは変わらないので、自分で意識できるかどうか、自分で分かっているかどうかが大きな違いになると思います。 - 管理職の方々に活用してみて、管理職の声や印象、感想は?
- 武藤:人のマネジメントの得意不得意が管理職でも個人差があります。得意な人より苦手な人の方がツールを喜んでくださる感覚があります。「なぜグラフだけ見てそこまでわかるの?」と、グラフを見て関わり方や違いを理解されて、管理職の浸透度や、ありがたがってくださっている実感があります。
一方で、マネジメントが得意な人は不便を感じていないため、グラフにも興味を示さないことがあります。問題が起きていない、一人ひとりと向き合っているからではありますが、さらにこのツールを理解してもらうと鬼に金棒だと思います。概ね、管理職にとってはいいツールと感じてもらい、のめり込む人もいらっしゃいます。
坂井:特に仕事の場面で使える診断だと思います。仕事の進め方や捉え方、言われたとおりにやるのが好きな人、それは窮屈に感じる人、自分で考えていきたい人など、個性診断ではありますが、仕事の場面で影響が出る部分が分かりやすく具体的な点が良いと感じています。人間関係でいつもトラブルになる人は、原因がわかって妙に納得される方もいたり、管理職にとってもメンバーと自分との違いが如実に数値で分かることで、理解が深まっています。 - 定着してきましたか?
- 坂井:「これいいよ」「じゃあやってみようかな」と口コミで広がってきた感じがあります。取締役が「自分のエリアでやってみよう」と取り組んで、普及してきました。
ただ、仕組みとしては取り入れられていないところがあります。新卒には活用できていますが、例えば、定点観測や中途入社の方、内定者向けの適材適所判断のために使ってもらうなど、これからは仕組みとして活用できるようにしていきたいと思っています。
情勢や世の中が変化して、専門スキルのある方は渡り歩けますので、この会社が好きで留まっているというより、自分の力が発揮できる場所にやりがいを感じるところがあると思います。そのため、いかにこの会社でやりがいを感じてもらえるか、自分の個性を知って発揮する術を得てもらうことかなと思っています。
武藤:今年、会社がキャリア自律を前面に押し出しており、社員はキャリア自律をしなさい、現場の管理職はキャリア面談で支えなさいという流れになり、そういう意味ではチャンスかなと思っています。一人ひとりのキャリアは自分で考えていいんだよという方向性になってきているため、自分の個性を理解して、どうしていきたいかを自分で考えるためのツールとしては非常に良いなと思っています。全社員に受けたらいいですよね(笑) - キャリア自律に向けて重要なことは?
- 坂井:自己理解が大事ですね。管理職自身のキャリア自律が必要ですが、そういう意味では管理職が置き去りでかわいそうではありますね。チームマップもそうですが、診断を武器にして活用してほしいですね。
武藤:1vs1で行うときも、自分のトリセツとして、上司に対して診断結果を解説することを勧めています。部下の特性を知ると上司も助かるし、細かいことや仕事の任せ方まで理解できることは有益ですので、本人から上司に伝えるよう勧めています。 - 今後の展開や協会への要望は?
- 坂井:定期的に行うとしたら、(現在、協会が開発している)診断アドバイスや答えがもらえるAIの活用も考えていきたいなと思います。リアルで回答する良さと、AIの良さを使い分けていく必要がありますね。
武藤:中途入社の人には必須で受けてもらいたいですね。面談があればすべてに診断をつけたいと思っています。また、組織開発に興味があり勉強していたため、期間を決めた組織開発の支援、ツールをもとにチームリーダーをサポートする、個人が困れば面談を行う、管理職にはキャリア面談のスキルアップのサポートを行うなど、契約をして一定期間サポートする仕組みを作っていきたいですね。異動が大きな部署ほどチームビルディングに苦労しているため、心に余裕がなくなり、優先順位が下がりがちなので作戦は必要かなと思っています。 - 最後に一言。使っていない方、知らない方へ推薦コメントをお願いします。
- 坂井:まずは自分で受けてみて、威力を実感してほしいと思います。あとは、近い人に受けてもらい理解してもらうところからスタートかなと思います。理解してくれそうな人にしてもらって効果をわかってもらい、そこから少しずつ広めていくのが良いですね。嫌がる人には難しいため、少しずつできるとこから広めていくのが良いと思います。
武藤:尺度の一つ一つの解説を覚えたからと言って現場で解説できるかは難しいと思っています。項目ごとのバランス、全体バランスや微妙な違いで解説は違ってくるため、診断士としてコツを早く掴むことが成功への近道かなと思います。私たちは石岡さんの解説を数多く聞いたため、上質なインプットができたことで、現場に落とし込むためのコメントが分かってきました。そのあたりの獲得の仕方を協会として考えてもらえると嬉しいです。協会がたくさんの勉強会を行っているため、一生懸命勉強されるのが早道だと思います。